長谷川晶一さんの『夏を赦す』を読む

 高校野球の対外試合禁止処分の残酷さをこれまで何度も取り上げてきたこともあって、長谷川晶一さんの書いた『夏を赦す』は発売後すぐに購入して読みました。

 日本ハムのエースとして活躍し、「毎度!」のキャッチコピーで有名になった岩本勉投手ですが、あの底抜けに明るいキャラクターの裏には、高校3年生の時に後輩の不祥事によって、夏の大会出場辞退という悲劇を経験しています。

 そのときの3年生は、20人いて、長谷川さんは、その全員にインタビューを試みようとし、15人からインタビューをすることに成功しました。そして、さらに不祥事を起こしたKのその後にも興味を抱き……、という展開です。

 私としては、最後の夏の大会に出場できなかった選手たちがその後、どのような人生を歩んでいるのかに興味があったので、15人の生徒については、アウトコースに外れることなく、まっとうな道を歩んでいることに安堵感を覚えました。
 長谷川さんの行動力と取材力は、執念を感じるほど積極的なものでした。こういったスポーツノンフィクションは、これまでほとんどなかったので斬新でした。

 当時学生だった15人は、好きな仕事を見つけ、それに生きがいを見い出していましたが、それでも何人かは、その夏をずっと引きずっているという感じを受けました。また、保護者だった人には、岩本さんの両親だけしかインタビューがなかったので、あまり論じることはできませんが、やはり保護者の方々は、ずっと後悔や恨みを心に抱えながら生きているのではないか、という印象があります。

 いずれにせよ、高校全体を対外試合禁止、または出場辞退に追い込む連帯責任制を廃止しないことには、悲劇は今後も繰り返されます。この『夏を赦す』を第一歩として、噴出する諸問題に深く踏み込んだスポーツノンフィクションが生まれてくることを願いたいと思います。



夏を赦す [ 長谷川晶一 ]
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長谷川晶一 廣済堂出版発行年月:2013年10月 ページ数:350p サイズ:単行本 ISBN:97


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